わかりにくい財政の話その1~収支はどうなっている~
分かったようで分かっていないのが住んでいる自治体(市)の財政状況。
国の財政状況はマスコミなどでしきりに論議をされていますが、市民の皆さんにとって、市の財政状況は広報やホームページを見るか、 本会議や委員会での説明を聞くしかありません。
しかし、自治体の会計はわかりにくく会社の会計や家計簿のようにはいきません。 その理由の一つは複雑な地方交付金制度などにあると言われています。市の職員でも細かいところまで熟知しているのは、 財政担当の職員だけかもしれません。
市の財政状況を分析するために、総務省は地方財政状況調査票を一覧表にまとめた自治体の決算カードなるものを公表しています。 (下線部分をクリックしてご覧になってください)
決算収支の状況を見るには、右の上の方にある「単年度収支」「実質単年度収支」の数字を見ます。
「単年度収支」は文字通りその年のみの収支のことで、前年度の黒字や赤字の影響を反映していません。つまり、 その年の赤字黒字がわかります。
「実質単年度収支」は、単年度収支に含まれていない、その年の積立金と繰上償還金をプラスして、 積立金取り崩し額をマイナスしたものであり、実質的な単年度の収支となります。
さて、本市の直近(平成20年度)の数値を見てみますと、単年度収支は2億952万円、 これに積立金などを算入した実質単年度収支は3億4837万円の黒字決算となっています。
そして、積立金の現在高は24億6000万円。
「えっ、黒字なの」と思われている方も多いと思いますが、このとおりしっかり黒字です。もっとも黒字にするために、行政や議会は、 知恵を絞り、また市民には我慢を強いたわけです。
しかし、数字上の黒字で安心はできません。この黒字額が適切な額かどうかは、表の右の下の方にある実質収支比率で、判断ができます。 適正な数値は、3~5%であり、この数値から大きく乖離していなければ問題ないと言われています。
本市の実質収支比率は、20年度2.2%となっており、過去の推移は、平成17年度0.2%、平成18年度0.4%、平成19年度0. 7%とだんだん適正値に近づいてきています。
市長が「春まであと一歩」と言った理由の一部は、この数値の変化にあるかもしれません。
以上が収支だけの状況となり、市全体の財政状況を見たことにはなりません。全体を見るために、 まだまだたくさんの材料がこの決算カードに詰まっています。次回は、他の指標等について見てみたいと思います。