ねじれの代償~どうなる子ども手当~
昨日から通常国会が始まりました。
テレビなどでご存じのように「予算関連法案」の成立が危ぶまれています。
もしこの予算関連法案が成立しなかったら子ども手当はどうなるのでしょうか?
現在、子ども手当は中学生以下の子どもに一律1万3000円支給されていますが、予算案では、 3歳未満に限り7000円上積みされ2万円の支給となります。
しかし、この子ども手当は平成22年度の時限立法を根拠に支給されていますので、 新法案が通らなければ子ども手当支給の根拠はなくなり、手当そのものが新法案と共に消滅し、以前の児童手当が復活することになります。
また、「児童手当には所得制限が設けられていたが、 制限のない子ども手当に移行したことで自治体が世帯ごとの所得把握のシステムを破棄しており、実際には支給できず、 宙に浮いてしまう可能性がある。」と言われています。
子ども手当支給には総額2兆9356億円かかります。(消費税の約1%にあたります)そのうち国費2兆2077億円、 地方負担5549億円、事業主負担1731億円。
民主党のマニュフェストに反し、地方負担分は19%に上り、1万3000円のうち約2500円分に相当します。
このうち半分を都道府県が負担し半分を市町村が負担をします。
国の政策の財源を地方に押しつけられてはたまったものではありません。
このことに対し、43の自治体が地方負担を拒否する事を表明しています。
山陽小野田市議会としても、国会の動向により対応を迫られることになりそうです。
現在25位です。
「議会は議論をする場ではない」
先日、テレビを見ながら新聞を読んでいると何かと話題の阿久根市長選挙のニュースが流れていました。
複雑な心境ながら阿久根市民にとっては良い結果かなと思いつつ新聞に目を落とすと、テレビのスピーカーから 「議会は議論をする場ではない」との竹原元市長の言葉が耳に飛び込んできました。
議会基本条例策定中の私にとってはとても興味深いコメントです。
それは、わたしには「議会は市長と議論をする場ではない」と聞こえたからでした。
平成20年の11月に行われた阿久根市の市民懇談会で竹原元市長は次のように語っています。
「議会というのは、実は議論をする場になっていない。議員が質問し、執行部は、それに答えるだけです。そういう規則になっている。 本当は議員同士が議論する場があるべきですが、どこにもない。市議会から県議会、国会まで一緒です。では、 どうやって物事を決めているかというと、裏で相談したり、グループ内で事前に談合したりして決めている。 この国はどこに向かっているかわからない。国の言いなりではなく、阿久根市なりに考えて、良い方向に変えていくためにも、 日頃から皆さんが政治に関心を持っていただきたいと思います。」
つまり1.議会は執行部と議論をする場ではない
2.議会とは議員同士が議論をする場である
3.議会(本会議)以前に物事が決まっている
4.まちが良くなるためには市民が政治に興味を持つ必要がある
1と2は議会の本質です。3についてはケースバイケースですが、4については地方自治の真の姿とも言えます。
1の「議会は執行部と議論をする場ではない」についてですが、
地方自治法には「常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、 陳情等を審査する。」
「普通地方公共団体の長、教育委員会の委員長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、 公安委員会の委員長、労働委員会の委員、 農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けた者は、 議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。」
地方自治法の規定によると委員会は「事務に関する調査」を行い、「議案、陳情等を審査」するとあり 更に議場には議会の 「審議に必要な説明のため」市長や教育委員長などを出席させるとあります。
つまり、はじめから議会と市長をはじめ執行部との議論は想定されていないのです。 調査や審査のための説明員として委員会や本会議場に出席していることになります。 説明員はあくまで説明のためであって、議論するために出席しているのではありません。
市長をはじめ執行部は政策などを議会に提案し議会がそれを議決した後に執行をします。
執行部は執行機関と呼ばれ議会は議決機関と呼ばれるのはそのためです。
それでは一般質問はどうだと反論される方もいらっしゃるでしょうが、本来の一般質問は質問と答弁の繰り返しです。
一般質問とは、行財政全般にわたって、執行機関に対し、 説明を求め又は所信を質すことであり対等に政策的な議論をする場ではありません。 もちろん議員側から建設的な提言などは行っていますが、一方的なものです。(本市議会では、 多少の議論になることは例外的にあります)
しかし2のように議会とは議員同士が活発な議論をする場であり、その必要があります。
特に専門的集中的に市の事務の調査や議案の審査をする委員会では委員同士が論戦を繰り広げなければなりません。
が現在のところ本市議会においては極めて低調です。
このことに関して議会基本条例制定特別委員会において委員会内の自由討議を条例に盛り込むことを決定しています。
自由討議とは、案件に対して執行部からの説明後に委員間で様々な資料や情報をもとに議論を尽くすことです。 議論を尽くした後に委員会の採決をします。
また議員全員が重要案件に関して意見交換や議論をする政策討論会も既に委員会では条例に盛り込むことを決定しています。
議会は言論の府であることを実践していくことを条例によりルール化しようとするものです。
この様に公式な議会や委員会は、厳密に言えば市長を含む執行部と議論をするところではありませんが、 だからといって議会は上段に構えて執行部と議論をしていないわけではありません。
実際の政策立案者である実務をする職員などと議員の立場で、日々議論を交わしています。 また非公式な協議会などを開催してざっくばらんに協議を重ねているのです。
また、会派主催の勉強会や議員連盟などでも執行部と議論を交わしています。
阿久根市の竹原元市長の行動や手法は、まったくルールを逸脱していますが、 阿久根市議会を含む地方議会に警鐘を鳴らし続けたのは事実だと感じています。
また、防府市や名古屋市についても首長の理論には首をかしげるものですが、 この様な市長を輩出する風土を作った議会にもその責任は十分あるのではないかと思っています。
議会は、責任の重みと職責を自覚し議会としてまた議員としてそしてまちの未来を見据えて、 やらねばならないことをきちんとやり遂げていくことこそが、今求められていると痛感しています。
現在26位です。
新春行事
今回で3回目となる宇部空港で行われた「書のパフォーマンス」。
100人以上の人が見守る中、3名の書家の先生が緊張した面持ちで一気に筆を走らせ2mx4mの紙に文字を躍らせます。
我が家でも新春恒例の行事となり毎年見物に言っています。
すごいなと思いつつも、なんと書いてあるのか説明を聞くまで分からないのが素人の悲しいところ。
矢田先生のブログに説明があるのでご参照ください。
現在32位です。
新病院建設にいくらかかるの?
1月4日は恒例の新年互例会。
主催者である市長はいつもに増して長い挨拶でしたが、 新病院建設については一切触れず終始にこやかに小野田港浚渫事業や小野田湾岸道路有帆大橋事業の進捗状況などを説明しました。
私たちの手元には、互例会の出席名簿と広報さんようおのだが配られ、そこには年末にこのブログで予測したとおり「新病院を建設します」 の文字がはっきりと太文字で書かれていました。私には予想どおりで全く驚きはなかったのですが、 議員の一部は憤慨した様子で見入っていたようでした。
さて、新病院の建設には約58億円かかると言われています。
財源は、合併特例債15億円、病院事業債43億円と推測されます。
病院事業債を借りる条件を整備するためには、約5億円を市の一般財源から繰り入れる必要があり、 このことについて何故病院事業の負債を市が補てんしなければならないのか、などの議論もあります。
しかし、病院事業の負債はもとをただせば山陽中央病院の負債であり、当時の町政が病院に対して基準内繰り出しを適正に行わなかった事 (行えなかった)などが原因で経営悪化をたどったとも言われています。そうなると病院の経営的負債ではなく政策的な負債となり責任は、 病院側ではなく行政主体にあると判断できます。
この約56億円の借金で市の負担は毎年7500万円で30年間、病院は毎年1億円で30年間返し続けることになります。
この金額のことについて市長は広報で「試算によると,それらは将来的な収支予測の中で決して支払えない金額ではありません。」 と書いています。(十分に支払える金額です。と書いていないところは、市長の性格でしょうか)
この病院建設についての情報量とその正確さは議員まちまちであろうと感じています。 通常であれば民生福祉の常任委員会に付託されて審議をされますが、巨額なお金を必要とする大事業であるので、 議会は違ったアプローチをして結果がどうあれ、 きちんと市民に対して説明責任を全うできるように正しい情報を入手して意見交換や議論をつくしていかなければならないと感じています。
現在27位です。
医師確保の実態
医師はどの様な状況に置かれていて、どの様に考えているのでしょうか?
私は医師ではないので分かりませんが、厚生労働省が興味深い調査をしています。
平成22年9月発表の「病院等における必要医師数実態調査の概要」を見てみると
「求人しているにもかかわらず医師が充足されない背景は?」との問いに対して
「求人している診療科医師の絶対数が県内(地域内)で少ない」38.0%
「大学の医師派遣機能が低下している」19.9%
「当院の勤務条件(当直や報酬等)と医師の希望との不一致」14.0%
との回答で全国的な医師数の不足と医局の実態が現れています。
また、医師を求人しなければならなくなった原因として
「他の病院への転職 開業、定年等による医師の退職(従前通りの体制を維持するために必要)3,650件33.6%」、
「医師の引き上げ等大学の医師派遣機能の低下による医師が減少(従前通りの体制を維持するために必要)2,136件19.6%」 であった。
ここでも医局の医師の引き上げが原因となっています。
そして、、医療機関で行っている医師確保対策の取り組みとして多かったのは、
「勤務手当(手術手当、分娩手当などの労働基準法以外の手当)等の処遇改善3,339件24.9%」、
「院内保育所の設置2,377件17.7%」、
「医師事務補助者の設置2,207件16.4%」であった。
医師により良い環境を整備して他の医療機関と差別化することによって医師確保をしようと模索をしています。 また女性医師が出産しても現場復帰しやすいような環境を作ろうとしています。
また、求人方法として多かったのは、
「大学(医局等)へ依頼13,691件」、
「インターネットへ掲載11,676件」、
「民間業者へ依頼9,200件」であった。
この件数は複数回答なので、各医療機関とも医局へ依頼しながらインターネットや民間業者を活用していると思われます。
医師の確保ができなければ、医療機関は閉鎖へと追い込まれます。 絶対数の少ない医師を環境整備によって取り合いをしている状況なのです。
この意味では、河合病院管理者の言う新病院建設はそのもの環境整備であり環境改善と言えるかもしれません。 しかしハード面が整備できたとしてもソフト面が整備できなければ医師は積極的には来ないものと思われますが、 そのことについては現在のところ言及をされていません。
今後、ソフト面の整備についても説明がされるものと思います。その時はまたこのブログにて詳細を明らかにしたいものです。
最後にもう一つ興味あるデータがありますのでお知らせをします。
それは医師国家試験合格者の地元残留率です。
最も高い地元残留率は順天堂大の90.3%、名古屋大の88.1%。最低は宮崎大の19.1%。
地元残留率は、東京、大阪、愛知などでは平均7割以上と高いが、それ以外の地方圏では、低い傾向にあります。
さて、山口大学はと言うと地元残留率43%、大学病院残留率20.9%、地元高校出身率22.1%(2010春、毎日新聞調べ)
これから読み取れるのは、半分以上は県外の医療機関に出て行っているが地元残留率が地元高校出身率より割合が多いので、 地元残留効果つまり他県から来た学生も県内の医療機関に入っている事になります。
また、大学病院残留率は20.9%であり全国平均33.3%と比べると低い数値になっています。
現在30位です。