祝賀会、懇親会に市長および職員全員欠席
改選後に正副議長や各常任委員会などのメンバーが決定されると慣例で執行部との懇親会が開催されます。もちろん自費で。
今回も市長及び関係職員(課長級以上)に「議長、副議長就任祝賀会及び常任委員会懇親会」の案内が出されましたが、市長をはじめ関係職員全員が欠席だったようです。
■懇親会は好ましくない?■
市長は関係する職員に議会との懇親会参加について自重を促す文書を出しました。
自重すべき理由は
①議長、副議長の就任は議会内部の問題であること(2元代表制の下、議会側の行事については参加する必要がないという意味か?)
②懇親は2元代表制である議会と執行部の関係において好ましくないこと(なれ合いの関係が生じるから?)
の2点だと言うことです。
議会内部の問題とは何なのか、好ましくないとは何を指すのかなど詳しいことは分かりませんが、この様な文書が公務出席とは言えない場面で公人である市長から発せられたことに関して異例であると同時に違和感を覚えるものです。
■2元代表制とは■
この自重を求める理由からすると職員は憲法や地方自治法に謳われている2元代表制の考え方を議場外はもちろんのこと懇親会などの飲みの場においても厳守せよということかもしれません。
2元代表制とは首長も議員も住民の選挙によって選ばれ、首長は執行権、議会は議決権を有し、お互いに独立した機関として牽制、抑制しながらその権限を均衡させて適正で効率的な行政運営を行うというものです。
地方自治の制度設計が2元代表制である以上、この制度の意義を良く理解して市政を運営していかなければならないことは当然とも言えます。
しかし、公式な行事とは言い難い祝賀会や懇親会の出席に2元代表制を楯に一石を投じる必要があるのでしょうか。
懇親の席は議会と執行部ではなくて一議員と一職員のやりとりでしかないでしょうし、そこにまで牽制、抑制の関係を地方自治法は求めていないはずです。
でも、市長は2元代表制に則った関係を厳格に考え維持すべきと考えたのでしょう。
そうなるといわゆる「市長派」と呼ばれる議員も市長から否定されたことになります。
見識あるものにとっては当たり前のことですが「議院内閣制」をとっていない地方議会には、市長与党つまり市長派は制度上、存在しませんし存在してはならぬものです。
議会に求められていることは市長に寄り添うことではなくて対峙していくことです。
■考え方が変わったのか■
私には市長はこの制度をうまく利用して職員に欠席を求めたとしか思えません。
首長は執行機関、議会は議決機関と完全に区別されているのが現在の制度です。
区別されているがゆえに、そして各々の役割が決まっているがゆえに執行機関の政策提案に議会が関与することはできません。
制度上、関与すればそれは越権行為であり、それこそ2元代表制である議会と執行部の関係において好ましくないことです。
そのために議会は数年前から市長の諮問機関である各種審議会に議員を出さなくなりました。
当時、市長はこの事について「何故、議員を引き上げるのか」と議会を激しく非難したことがあります。
また、市長は本会議の一般質問で議員が執行部に対して政策要求で詰め寄ると「議員さん、一緒に(政策形成)やりましょう」旨の発言を幾たびか行っています。
しかし、審議会や協議会などで執行機関と議会が政策協議ができないことは2元代表制の考えからすれば当たり前のことなのです。
当時の市長の発言は2元代表制を否定しかねないものだったのです。
執行部の提案に対して議決権を持つ議員がその立案に携わってしまったら、議員の権限である議決に選択の余地はなくなり制度上混乱をきたしてしまいます。
■岐路に立つ地方自治■
現在の地方自治法では執行機関と議会が協働して政策を作り上げることは制度上不可能です。
不可能を可能にするには自治法の改正を待つしかないのですが、様々な設定で「協働」や「協調」を演出することもできます。
昨年度開催した「市民カンファレンス」もその取り組みの一つでした。
地方自治法に抵触しない方法で両者が議論できる場を設定することは十分可能なはずです。
議会にも政策提案権はありますが、政策提案集団である執行機関との差は歴然としています。
住民の利益のために執行機関の知恵を借りたり、協働して政策提案ができるように地方自治も変化をとげる必要があるのではないでしょうか。
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