山口東京理科大が公立化へ
新聞などで「山口東京理科大学を公立化」の記事を読んで驚かれた方も多いのではないでしょうか?
1月1日号の広報さんようおのだにも詳しく書かれています。
発端は本体である東京理科大学から市が引き受けるか廃校かの判断を求められたようです。市が引き受ける、つまり公立化の場合は累積債務約90億は東京理科大学が清算し、東京理科大学の名称を引き続き使用できるほか姉妹校関係を継続するとのことです。
今後のスケジュールは平成28年4月に定員839名の公立大学法人を開設したのち、平成29年4月には定員600名の薬学部を設置するという事です。
■定員割れ続き厳しい大学運営■
山口東京理科大学は1987年の東京理科大学山口短期大学に始まり1995年に改組転換して現在の姿になっています。
過去5年間の入学者数は定員200名に対し、平成22年度148名、平成23年度163名、平成24年度200名、平成25年度189名、平成26年度164名で5年中4年は定員割れをおこしています。
定員割れになると大学経営が厳しくなります。最終的には広報にあるように累積債務が約90億円ということです。もちろん90億円すべてが定員割れによるものではないはずですので詳細内訳については精査をする必要があります。
■公立化するとどうなる?■
新聞記事が出たことにより既にネット上では議論が沸騰しています。
今回の場合、公立化イコール山陽小野田市立となります。
そしてブランドでもある東京理科大学の名称使用が許されているという事なので正式名称は「公立大学法人山陽小野田市立山口東京理科大学」となる見込みです。蛇足ですが大学職員は公立化しても公務員ではありません。
また公立化のメリットは、運営費交付金などによる学費等の軽減や地域との包括的連携の拡充、地元受験生の選択肢の増加などが考えられます。
デメリットとしては、財政負担増加の可能性や市民からの批判に対するリスクなどがあります。
■公立大学化に対する期待と不安■
今までは私学という事でおろそかになっていた協力連携体制の考え方が180度変わるはずです。
大学と言う社会資源を知の拠点として位置付けることにより、まちづくりに大きく貢献できることになります。
また、産学官の連携により地域産業を担う高度な人材を育成し定着させる取組にも正面から向き合えるはずです。
しかし不安材料もたくさんあります。
まずは何と言っても財政的な事が不安です。
市長は紙面の中で「一番厳しく予想して、公立化した後の9年は赤字経営に陥らないという結果になりました」と述べています。
もちろん私たちはこの試算を信じるしかありませんが、本当にそうなのか、もしそうであったとして10年後はどうなるのか全く不透明のような気がしています。
また大学の価値を高めるために偏差値も上げていく必要があります。公表されている偏差値は約40程度です。理系大学として地域の未来を担う優秀な人材を育成する観点から見ても偏差値のアップは不可欠です。
この公立化にはリスクとチャンスが共存しています。
リスクを最小に抑えチャンスを掴むには相当の智慧と努力が必要です。
■議会の役割■
いずれにしてもこれからが正念場です。
東京理科大学との協定締結のわずか数日前に議会の全員協議会において説明があったと聞いています。重要事項に関わらず完全に議会は蚊帳の外の感があります。
広報の市長コメントのとおり、議会の最初の議決事項は公立大学法人の定款です。そうなると担当委員会は総務文教常任委員会という事になります。
しかしこの案件は一常任委員会が取り扱うべきものではなく議会全体で取り組むべきものだと思われます。
おそらく市長は嫌がるでしょうが、特に重要な事件として位置づけ早急に特別委員会を設置することが望まれます。
国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中の「地方大学等創生5か年戦略」を活用してまちづくりに資することを期待したいです。
最後まで読まれたらクリックをお願いします!!
全国ブログランキング
只今8位です。