見えてこない市内業者の振興
平成24年経済センサスによると山陽小野田市の産業は21年度と比較して事業所数で246、従業員数で403人減少している。調査から3年経過した現在も同様の傾向が続いていると思われる。
このように中小企業が衰退している中、山陽小野田市は今年の7月に中小企業振興基本条例を制定した。
この条例の前文に「本市が更に活力ある発展をするためには、中小企業の発展や活性化は、欠くことができないものであり、中小企業の振興は、本市経済の循環及び発展に大きく関わり、ひいては市民生活の向上につながるものです」とあるように市の経済は国や県だけではなく市内の中小企業に大きく依存をしている。
市内の中小企業が市を財政的社会的に下支えしていると言っても過言ではない。
中小企業の振興を行政の柱とするのこの様な条例を制定した市として新たな方針や施策は本当に展開されているのか?
条例を制定をした他市などはいち早く「地元企業優先発注等に係る実施方針」などを策定している。
■安易に市外業者を参入させている現状■
市の契約における業者選定について、過去の本会議の答弁では「ほとんどの場合、市内業者で業者選定を行っていますが、業種によっては、市内業者だけでは業者数が少ない場合があります。このような場合、競争性を確保するために、準市内業者や市外業者を指名することもありますが、原則的には、市内業者優先の指名を行ってまいりたいと考えております。」と言うお役所的でファジーな答弁がなされている。
しかし現実には市内業名のみで競争性が確保されているにも関わらず、市内業者以外を参入させている事例が数多くある。
■競争性の確保とは■
行政は税金を投入して民間業者と契約する以上公平性を担保するための競争力の確保は必要となる。
それでは競争性を確保できる業者数は何社なのかが重要なポイントになる。
市内業者が1社しかいなければ、準市内、市外と枠を広げていかなければならないのは言うもでもない。
もちろん該当市内業者がいなければ準市内業者や市外業者で入札が行われることになる。何ら問題ない。
問題となるのは競争性を確保できる業者数が市内に存在するときにどうするのかだ。
その業者数について9月議会で担当職員は伊藤實議員の質問に対して「予定価格が100万円未満の場合は3社以上、100万以上500万円未満の場合は5社以上、500万円以上の場合は7社以上の業者を選定することになっている」と答弁した。
現実には例えば予定価格が300万円で登録市内業者が4社の場合、この4社で入札は行われず、基準の5社以上を満たすために準市内業者の登録が3社あれば合計7社で入札が行われているようである。
しかし一方で競争性を確保できる業者数は「2社以上」とも職員は答弁をした。
つまり行政は「市内業者保護」と「競争性の確保」を謳いながら現実は過去(合併以前)からある時代錯誤の業者指名数の基準に沿って運用をしているに過ぎない。
そこには中小企業振興基本条例の理念はみじんも感じられない。
■物品の調達等の指名競争入札には業者数の基準なし■
前述の業者数基準は「建設工事指名競争入札参加者指名基準」であり、物品の調達等の指名競争入札には業者数の基準はない。
しかし、物品の調達等も同じ基準で業者数を決定している。
市は建設工事指名競争入札参加者指名基準に準拠して運用していると説明をしているが明文化されていない以上根拠に欠けているし、現在の状況は行政の怠慢と言わざるを得ない。
■随意契約では更にぐだぐだ■
ある一定の金額以下では随意契約が行われる。
その随意契約での市内業者振興とは程遠い運用の一例を伊藤議員が示した。
内容は30万円程度の随意契約において市内業者4社と県外業者1社で見積もり合わせを行ったというものだった。
県外業者を参入させた理由は「従来から付き合いがあった」と言うから驚いた。もちろん不正はなく仕事上の付き合いがあったのであろうが、そんな理由で参入させることを世間では「癒着」と言う。
■最後は市長が決めるもの■
事務方の職員には政策転換の権限はない。
中小企業振興基本条例に則った契約の具体的な方針を決めるのは政治家である市長でしかない。
白井市長は答弁で「(入札に関することは)間違っていた。数が少なくとも競争と言う状況が認められればそれが市内業者2社だって構わない。今度からそうします。さらに「10月から改める」と続けた。
既に10月になった。今後の入札結果を注視したい。
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